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ガガイモの果実 [野草]

2009年10月12日。
西の駐車場のカイヅカイブキに自生したフウセンカズラが這い上がっています。
その隣に大きな緑色の果実が二つ下垂しているのを見つけました。
縦10cmくらい、先が尖った披針型で表面はごつごつした袋果です。
ひょっとしてこれが「ガガイモ」?
一昨年それらしい葉を見つけてから、多少の期待感がありましたが見るのは初めてです。
この果実から種子が飛び出すところが見たくて、日参が始まりました。

ガガイモ091012wb.jpg

11月8日。
緑色だった果実に縦の裂け目ができました。右の果実は萎びて黒ずんでいます。

ガガイモ完熟wb.jpg

11月19日。
ついにぱっくり裂け目が開いて中に真っ白い羽毛か絹糸かのようなものが見えました。

ガガイモ1119-2wb.jpg

茶色の扁平な種子に一束の繊維がついています。
この綿毛を種髪(しゅはつ)といい、種子を遠くに飛ばす役割を担っています。

ガガイモ1123-1wb.jpg

見とれている間もなく種子は微風にも反応してさらさらと飛び散っていきます。
種髪と種子が外れてしまうこともあります。

ガガイモ1123-4wb.jpg

種子のついてない種髪がふわふわと漂っています。

ガガイモ1123-5wb.jpg

風があって写真が撮れません。
種子付き種髪を一つ確保して室内に入り、やっとこの1枚を残しました。

ガガイモ1123-7wb.jpg

でも種子はすぐ無くなって、種髪だけがゆら〜り、ゆら〜り。

ガガイモ1123-9wb.jpg

ガガイモ
 ガガイモ科 ガガイモ属
 つる性の多年草。花期 8〜9月。

2010年9月2日。
今年はガガイモの花と果実をそろえて記事にしたいと思っていました。
しかし、今年はカイズカイブキの北側のドクダミの間に貧弱な蔓しか見えません。
やっと咲いたガガイモの花は小さくて、長いハート型の葉の間から顔をのぞかせていました。

葉と花wb1.jpg

暑い季節に不釣り合いな、厚いフェルトで作ったような花弁でした。
蜜が豊富なのか、アリの訪来多く、左の花にはアリのおしり、右の花には脚が写っています。

ガガイモ2花wb.jpg

ガガイモの花は複雑な構造で、雄しべはなく花粉塊というものがあります。
数少ない花もアリに占拠されたものが多く、私の腕とメカでこの微細構造を撮るのはたいへんむつかしいことがわかりました。
見ればまた野芝の間にガガイモの若苗が育っています。またの宿題にしましょう。

ガガイモ若苗wb.jpg

追記 1
ガガイモの花については、せめて花粉塊のきれいな写真が撮れてから追加記事をと思っていましたが、コメントの返信を書くにあたってここにすばらしいHPの記事とその基になった論文を紹介させていただきます。
   ガガイモの両性花と雄花 
       http://www.juno.dti.ne.jp/~skknari/gagaimo.htm
   ガガイモの学術論文
       http://homepage3.nifty.com/o-kita/ga/gaga_betu1.html
追記 2 (2013. 9.16.)
やっとガガイモの花の記事が書けました。
       http://yuusugenoniwa.blog.so-net.ne.jp/2013-09-16
コメント(10) 

コメント 10

わんちゃん

夕菅さん 夕菅さん

ウチの近所ででもガガイモの実が・・・
もうもう、眼の高さの所に、しかし、誰にも気づかれていないようです。
お花に出合って、期待してました。
緑色の実が茶色く変色してそれからなんですね、
今まだ、半分緑で半分茶色になりかけ

夕菅さんの撮られたお写真でその正体が解りました初めて見ます、楽しみです

散歩道のガガイモはいつもお花は見かけるのに、
きれいに草刈されてしまって実は未だかって・・・でした。
違う道のフェンスに絡まっているガガイモさんにおおいに期待しているわんちゃんです。
by わんちゃん (2010-11-21 16:08) 

夕菅

わんちゃん  楽しみですね。
眼の高さの所だといい写真が撮れそうです。
ちょうど開いたばかりのところが見られるといいですね。

うちでは今年も小さい果実は1つ出来たのですが、虫に食べられて穴が空き、その後何故か見当たらなくなってしまいました。
by 夕菅 (2010-11-21 18:02) 

エフ・エム

ガガイモの種髪は絹のように輝いて、とてもきれいなものですね。種髪をつけた種子の写真、珍しいものを見せていただきました。これなら風にのってどこまでも飛んで行きそうですが、種髪と種子ははずれやすいのですか。何か意味があるのでしょうか。
花も変わっていますね。花粉塊をつくって、それを昆虫に運ばせるなんて、普通の花の常識からは考えられません。
ところで、アリは花の中でなにをやっているのでしょうか。蜜を盗みにきているのでしょうか。
by エフ・エム (2010-11-21 21:25) 

夕菅

エフ・エム さん コメントありがとうございました。

弾けたばかりのガガイモの果実が見られて幸運だったと思います。
でも飛び散る種子にピントを合わせることが出来なくてあせりました。
種髪と種子の結合力についてはよくわかりません。ただ、5枚目の写真では種子がなく種髪だけのが多く見えるようですね。
花粉塊と昆虫との関係については、詳しい文献がありますので、本文に追加でご紹介しました。きっと納得していただけることと思います。
アリはやはり盗蜜かと思います。今回特にアリが多くて花をきれいに撮ることができませんでした。そしてそのアリはどうも入ったものの出られなくなっていたようなのです。ということは他の昆虫は入れなくなりますから、むしろ受粉を妨げることになるのでしょうか。
by 夕菅 (2010-11-22 00:47) 

末摘花

ガガイモという植物は初めてみました。
「フウセントウワタ」に似た感じですが、形が少ししがうようです。
ユニークな植物がありますね
by 末摘花 (2010-11-28 00:19) 

夕菅

末摘花さん  コメントありがとうございました。
昨日の返信、一部訂正させていただきました。ごめんなさい。
フウセントウワタもガガイモ科ですから確かに似ていますね。
フウセントウワタは生花として円い果実が花屋さんに並ぶことがありますし、栽培用の種子も販売されていますね。
ガガイモの花は私も画像では見ていましたが、実物は今年初めて見ました。本当はもっと奥の花粉塊まで撮りたかったのですが、また来年の宿題です。
まだまだ知らない植物がいっぱいですが、ネット検索をしますとお詳しい方がたくさんいらっしゃることがわかり、それにもまた驚いています。
by 夕菅 (2010-11-29 08:26) 

ちい

はじめまして、こんにちは。
過去記事にコメント失礼いたします。
なかなかさんのトレニアの受精の記事から辿り着きました。
私は植物全般好きなのですが知識が思うように付いていきません。
学術的なことも分からなければその辺に生えている草の名前もおぼろげです。
ガガイモ科の植物はオキシペタラム・ブルースターがうちに居ます。
ガガイモの種は初めて拝見しましたが、オキシペタラムと同様なのですね。
ケセランパサランだと子どもの頃に捕まえた綿毛は本家のガガイモだったのかもしれないなぁと思って嬉しくてコメントをさせて頂きました。

これからも宜しくお願い致します。


by ちい (2011-01-07 15:40) 

夕菅

ちい さん。初コメントありがとうございました。
なかなかさんとこから来て下さったのですね。
「ケセランパサラン」って知りませんでしたのでネット検索しました。
お蔭様でひとつ物知りになりました。

オキシペタラム・ブルースター、これもガガイモ科でガガイモと同じように大きな果実ができて綿毛が飛ぶはずですよ。
私の庭にも一度植えたことがありましたが、結実までみないうちに何故かたえてしまいました。
同じくガガイモ科のヤナギトウワタは綿毛まで確認できました。
私も野草の名前はほとんどわからない素人です。
どうぞまた遊びに来て下さい。


by 夕菅 (2011-01-07 23:56) 

ちい

夕菅さん こんにちは。
関東は冷たい風が吹いていまして庭作業をしようと思いましたが撃沈してしまいました。
オキシペタラムの種、今まさに種を飛ばそうと鞘の割れ目から綿毛が覗いています!
昨日の夜の強風で既に飛ばされているかと思いきや・・。
時期はずれの種は寒くて鞘の外に出るのを嫌がっているようです。
とはいえ一見、寒さに弱そうな植物なのにかなりの耐寒性があり初年に冬を越したときは驚きました。
by ちい (2011-01-10 16:09) 

夕菅

ちい さん。コメントありがとうございました。
ブルースターが今頃種を飛ばそうとしているのですか。
本当に驚きですね。
このガガイモのときもヤナギトウワタのときも、鞘が開きかけてもなかなか全開しないので、まだ?まだ?と日参したものです。
風が強いとすぐさらさらと飛んでいってしまいそうですものね。
寒い中たいへんですが、いい写真が撮れるよう頑張って下さい。
by 夕菅 (2011-01-11 00:00) 

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