オクラ(2)受粉 [野菜]
オクラは葉の付け根から蕾が出てきてそれぞれ1花だけ咲きます。
そしてその殆どが実を結びます。これは「ダビテの星」です。
午後2時頃、今朝咲いたばかりの花は5枚の花弁を揃えて閉じる準備をし始めます。
これまで見て来たほとんどの花は満開の頃には花弁にも花粉がいっぱい付いていました。
けれどもこのオクラの花は柱頭にも花弁にも花粉はほとんど見られません。この写真の花だけが特別なのではなく、今年咲いた花のほとんどがこんな感じでした。
またオクラの花にはチョウやガも滅多に訪れていません。
時間と共に花は巻上げるようにすぼんでいきます。
これで受粉は完了しているのでしょうか?
翌朝9時頃、きれいに卷き上がった花をひとつ観察用に採りました。
花弁は一枚の萼に包まれ、その周りを細い副萼片がとりまいています。
しっかり巻上げられた花弁を開いて柱頭を見てみました。
やはり花粉は少ないようです。
拡大するとところどころに花粉が確認できました。
同じくアオイ科でも昨年記事にしたモミジアオイでは5つの柱頭が彎曲し、花粉がいっぱい付いていました。
柱頭部を横から見てみました。
ベレー帽のように巻き込んだ柱頭の下部にはかなりの数の花粉がついています。
この柱頭部分を切り取って底面を見ました。
シイタケの傘のようです。下面にはたくさん花粉が付いていました。
オクラの柱頭は内側へ巻き込んで、雄しべの花粉に接触し、密に生えた毛で花粉をしっかり捕捉しているように見えました。
柱頭上部は他花の花粉を受け入れるために広く空けてあるのでしょうか。
確認のためこの底面の花粉を顕微鏡で見てみました。
大きな円い花粉からはすでに花粉管が伸びているのが確認できました。
開花2日目の朝の状態です。
マルオクラでは雄しべがさらにせり上がって、柱頭上部に花粉が接している花も見られました。
チョウやガの訪問を期待していない証しは蜜の位置に見られました。
下から見上げると、蜜は花の外の萼の基部からしみ出ていて、小さなアリがたくさん集まっていたのです。
萎んだ花は副萼片だけ残して翌日ないし数日後に落花します。
ちょっと触れただけで落ちてしまった昨日の花の花弁を開いてみました。
やはり柱頭の花粉は少数しか見えません。
その直後、残った子房と副萼片の画像です。
1日後。明らかに子房が大きくなっています。
あの柱頭の状態ですでに受精は完了していたことになりますね。
無駄な花を咲かせず、自家受粉でいいから確実に受粉し、多少の雨が降っても傘のような柱頭で守り、さらに早々と花弁で包み込んで保護して種子を残すという誠に堅実な受粉体制かと思われます。
おかげ様で酷暑の間も食卓に緑が添えられました。
後日、人工授粉したら五角と九角のオクラの交雑種が出来ないかしらと邪念が浮かびましたが、このような体制では既に蕾のときから受粉していることも考えられ、筆先でチョンチョンしても無駄かと思われます。いずれにせよ今年はもう「ダビテの星」の花しか残っていません。
そしてその殆どが実を結びます。これは「ダビテの星」です。
午後2時頃、今朝咲いたばかりの花は5枚の花弁を揃えて閉じる準備をし始めます。
これまで見て来たほとんどの花は満開の頃には花弁にも花粉がいっぱい付いていました。
けれどもこのオクラの花は柱頭にも花弁にも花粉はほとんど見られません。この写真の花だけが特別なのではなく、今年咲いた花のほとんどがこんな感じでした。
またオクラの花にはチョウやガも滅多に訪れていません。
時間と共に花は巻上げるようにすぼんでいきます。
これで受粉は完了しているのでしょうか?
翌朝9時頃、きれいに卷き上がった花をひとつ観察用に採りました。
花弁は一枚の萼に包まれ、その周りを細い副萼片がとりまいています。
しっかり巻上げられた花弁を開いて柱頭を見てみました。
やはり花粉は少ないようです。
拡大するとところどころに花粉が確認できました。
同じくアオイ科でも昨年記事にしたモミジアオイでは5つの柱頭が彎曲し、花粉がいっぱい付いていました。
柱頭部を横から見てみました。
ベレー帽のように巻き込んだ柱頭の下部にはかなりの数の花粉がついています。
この柱頭部分を切り取って底面を見ました。
シイタケの傘のようです。下面にはたくさん花粉が付いていました。
オクラの柱頭は内側へ巻き込んで、雄しべの花粉に接触し、密に生えた毛で花粉をしっかり捕捉しているように見えました。
柱頭上部は他花の花粉を受け入れるために広く空けてあるのでしょうか。
確認のためこの底面の花粉を顕微鏡で見てみました。
大きな円い花粉からはすでに花粉管が伸びているのが確認できました。
開花2日目の朝の状態です。
マルオクラでは雄しべがさらにせり上がって、柱頭上部に花粉が接している花も見られました。
チョウやガの訪問を期待していない証しは蜜の位置に見られました。
下から見上げると、蜜は花の外の萼の基部からしみ出ていて、小さなアリがたくさん集まっていたのです。
萎んだ花は副萼片だけ残して翌日ないし数日後に落花します。
ちょっと触れただけで落ちてしまった昨日の花の花弁を開いてみました。
やはり柱頭の花粉は少数しか見えません。
その直後、残った子房と副萼片の画像です。
1日後。明らかに子房が大きくなっています。
あの柱頭の状態ですでに受精は完了していたことになりますね。
無駄な花を咲かせず、自家受粉でいいから確実に受粉し、多少の雨が降っても傘のような柱頭で守り、さらに早々と花弁で包み込んで保護して種子を残すという誠に堅実な受粉体制かと思われます。
おかげ様で酷暑の間も食卓に緑が添えられました。
後日、人工授粉したら五角と九角のオクラの交雑種が出来ないかしらと邪念が浮かびましたが、このような体制では既に蕾のときから受粉していることも考えられ、筆先でチョンチョンしても無駄かと思われます。いずれにせよ今年はもう「ダビテの星」の花しか残っていません。
2010-10-09 17:44
コメント(4)
たいへん興味深く読ませていただきました。
オクラは主に自家受精によって種子をつけるのですね。
なるほど、この構造ですと、交配の難しい植物かも知れませんね。
蜜腺ががくの基部にあるというのもおかしいですね。
アリを呼び寄せて、何に役立てているのでしょう。
謎の多い植物ですね。
by エフ・エム (2010-10-10 17:59)
エフ・エム さん
オクラの受粉のことなど資料が乏しいまま書いてしまいましたので、またまた誤りがあるかもしれません。
柱頭が広いので他の花の花粉を付けるのは簡単ですが、あの構造では開花したときではもう遅いような気がするのです。
もちろん最新の品種改良技術によって新しい品種がどんどん出ていますが、ダビテの星との交雑種はまだないようですね。
by 夕菅 (2010-10-10 21:07)
他家受粉が進化に有利に働いてきたのだと思いますが、かたくなに自家受粉にこだわっている感じですね。自家受粉やクローンで子孫を残しながら生き続けている植物も多くあって生き物の世界は興味深いですね。勉強になりました。
by satton (2010-10-11 09:11)
アオイ科でもアオイボンテンカはたくさんの閉鎖花(自家受粉)をつくりします。
http://yuusugenoniwa.blog.so-net.ne.jp/2008-09-23
またアオイボンテンカをはじめ、モミジアオイでも雌しべの下垂による自家受粉を奥の手とするようです。
http://yuusugenoniwa.blog.so-net.ne.jp/2009-08-14
その流れでオクラは初めっから自家受粉派かなと面白く思いました。
他家受粉は優等生、自家受粉は個性派でしょうか?
生物の世界はほんとうに深遠ですね。
by 夕菅 (2010-10-11 18:15)