シラー・カンパヌラータ [草花(春)]
シラー・カンパヌラータは「春のプロペラ」に「シラー」と書いた淡青色の花です。
キジカクシ科(←ユリ科)の多年草
学名 Hyacinthoides hispanica
旧学名 Scilla campanulata、Scilla hispanica、Endymion hispanicus
一般名 シラー・カンパヌラータ
英名 Spanish blue-bell
和名 ツリガネズイセン(釣鐘水仙)
原産地 南ヨーロッパ
シラー(Scilla)というのはユリ科ツルボ属の属名です。
ところがシラー・カンパヌラータは過去に学名が何度も変わったため、上記のようにいろいろの名前で呼ばれてきました。
現在はキジカクシ科ヒアシンソイデス属に分類されていますが、一般には「シラー・カンパヌラータ」で通っているようです。
4~5月、真っすぐに30~50cm伸びた茎から淡青色の花が10〜20個くらい吊り下がって総状に咲きます。花冠の長さは1.5~2cm。釣鐘状の花冠は6裂し、それぞれにやや濃いブルーの縞が見えます。
花柄の基部に大小1対の細い苞があるのが特徴です。
艶のある緑色の葉の幅は広いものでは2~3cmあります。
少数ながらピンクや白の花もあります。右端と中央にピンクが咲いています。
これらは草丈低く20〜30cm、葉の幅も2cm未満。
ピンクの花。
茎は直立せずややたわんでいて、花は少し横向き加減に咲くのもあります。
全体に小型で花数も少なく5~10個ほど。
花冠もやや小さく長さ1.5cmくらい。花弁は同じく6裂しています。
白い花、ピンクの花と同じく6裂した花弁の先端は淡青色の花より反り返っています。
苞は緑色。
紫色の花。
草丈は白・ピンクの花よりはやや高いものの、淡青色のものよりは低く、葉幅も狭め。
花の形はピンクや白と同じで1本のめしべの周りに6本のおしべが見られます。
これらを比べて見るうちに、初めの淡青色の大柄の花と他のピンク・白・紫色の花には違いがあるように感じました。
ここで頼りのネット文献探し。
ありました!!!
シラー・ヌタンス(Scilla nutans)
英名 ブルーベル、English Bluebell
シラー・カンパヌラータと似てやや小型で可憐な品種があったのです。
私は今までずーっと同じシラーで色がピンク・白の違いだとばかり思ってきました。
これら3色はシラー・ヌタンスの記載に合います。
そして淡青色だけが狭義のシラー・カンパヌラータだと思われます。
もう20年も毎年見ていたはずなのに、今年は新たな発見がありました。
シラー・ヌタンスはイギリスではEnglish Bluebellと呼ばれ、春になるとブルーに染まったブナ林などへ「ブルーベルを見に行くツアー」があるそうです。日本のカタクリの花などと同じですね。
シラー・カンパヌラータについて、もう1つ疑問がありました。
花冠は切れ込みのある1枚の花弁か、別々の6枚の花弁かということです。
花冠を開いてみました。どうも花弁は基部ではつながっているようです。深い切れ込みにより6枚の花弁のように見えるだけですのようですね。
さらに切れ込みの中央にそれぞれ6本のおしべが付着していました。
早く咲いた花では果実が出来ていました。
花弁も散ることなく6裂したまま枯れていました。苞も残っています。
この花は鱗茎といってユリやタマネギのような構造の球根で殖えます。古来、この鱗茎は有毒だと言われています。球根の他に種子もできれば繁殖間違いなしですね。
本当にこの花達は何年も植えっぱなしでも美しい色の花を咲かせてくれる優れものです。
「シラー・ヌタンス」の名称は日本ではまだ一般的ではないようですので、ここでは「シラー・カンパヌラータ」に含めておきます。
キジカクシ科(←ユリ科)の多年草
学名 Hyacinthoides hispanica
旧学名 Scilla campanulata、Scilla hispanica、Endymion hispanicus
一般名 シラー・カンパヌラータ
英名 Spanish blue-bell
和名 ツリガネズイセン(釣鐘水仙)
原産地 南ヨーロッパ
シラー(Scilla)というのはユリ科ツルボ属の属名です。
ところがシラー・カンパヌラータは過去に学名が何度も変わったため、上記のようにいろいろの名前で呼ばれてきました。
現在はキジカクシ科ヒアシンソイデス属に分類されていますが、一般には「シラー・カンパヌラータ」で通っているようです。
4~5月、真っすぐに30~50cm伸びた茎から淡青色の花が10〜20個くらい吊り下がって総状に咲きます。花冠の長さは1.5~2cm。釣鐘状の花冠は6裂し、それぞれにやや濃いブルーの縞が見えます。
花柄の基部に大小1対の細い苞があるのが特徴です。
艶のある緑色の葉の幅は広いものでは2~3cmあります。
少数ながらピンクや白の花もあります。右端と中央にピンクが咲いています。
これらは草丈低く20〜30cm、葉の幅も2cm未満。
ピンクの花。
茎は直立せずややたわんでいて、花は少し横向き加減に咲くのもあります。
全体に小型で花数も少なく5~10個ほど。
花冠もやや小さく長さ1.5cmくらい。花弁は同じく6裂しています。
白い花、ピンクの花と同じく6裂した花弁の先端は淡青色の花より反り返っています。
苞は緑色。
紫色の花。
草丈は白・ピンクの花よりはやや高いものの、淡青色のものよりは低く、葉幅も狭め。
花の形はピンクや白と同じで1本のめしべの周りに6本のおしべが見られます。
これらを比べて見るうちに、初めの淡青色の大柄の花と他のピンク・白・紫色の花には違いがあるように感じました。
ここで頼りのネット文献探し。
ありました!!!
シラー・ヌタンス(Scilla nutans)
英名 ブルーベル、English Bluebell
シラー・カンパヌラータと似てやや小型で可憐な品種があったのです。
私は今までずーっと同じシラーで色がピンク・白の違いだとばかり思ってきました。
これら3色はシラー・ヌタンスの記載に合います。
そして淡青色だけが狭義のシラー・カンパヌラータだと思われます。
もう20年も毎年見ていたはずなのに、今年は新たな発見がありました。
シラー・ヌタンスはイギリスではEnglish Bluebellと呼ばれ、春になるとブルーに染まったブナ林などへ「ブルーベルを見に行くツアー」があるそうです。日本のカタクリの花などと同じですね。
シラー・カンパヌラータについて、もう1つ疑問がありました。
花冠は切れ込みのある1枚の花弁か、別々の6枚の花弁かということです。
花冠を開いてみました。どうも花弁は基部ではつながっているようです。深い切れ込みにより6枚の花弁のように見えるだけですのようですね。
さらに切れ込みの中央にそれぞれ6本のおしべが付着していました。
早く咲いた花では果実が出来ていました。
花弁も散ることなく6裂したまま枯れていました。苞も残っています。
この花は鱗茎といってユリやタマネギのような構造の球根で殖えます。古来、この鱗茎は有毒だと言われています。球根の他に種子もできれば繁殖間違いなしですね。
本当にこの花達は何年も植えっぱなしでも美しい色の花を咲かせてくれる優れものです。
「シラー・ヌタンス」の名称は日本ではまだ一般的ではないようですので、ここでは「シラー・カンパヌラータ」に含めておきます。
2010-05-06 16:55
コメント(5)
名前がカンパニュラータだし、釣鐘状の花がよく似ているので当初カンパニュラの仲間と思っていました。良く見るとキキョウ科のカンパニュラと花のつくりがぜんぜん違いますね。清楚な感じで好きな花です。
by satton (2010-05-07 10:47)
sattonさんは連休中も連載、感心してます。
このカンパニュラータはキキョウ科のカンパニュラより花弁も厚いですね。
同じく釣鐘状の冬咲きクレマチス(クレマチス・ウンナンエンシス)ではもっと厚かったから気温に応じた防寒着なのでしょう。
by yuusuge (2010-05-07 18:47)
シラーカンパニュラータとブルーベルの違い、
ずっと同じかどうか気になっていて。
違いがこんなに詳しく書いてあるのを初めて見させていただいて、
すごく勉強になりました。
我が家にもどっちもあるので、今年、もっとじっくり見てみたいな。
シラーカンパニュラータとビオラとクリスマスローズの優しい組み合わせが
本当に見ていて心癒されます。
植物の姿、お写真の構図、植え方とかすごく素敵で。
文献の追及もすごく深くお調べになっていて、本当に感心しきりです。
毎回、ほんとに勉強になります。
夕菅さんのお花のお話を伺うのが毎回とっても楽しみです^^
庭のお花の風景もこれからますます楽しみです。
by えっちゃん (2010-05-09 23:54)
えっちゃん 暖かいコメントありがとうございました。
今までこんなに褒めていただいたことがありませんので、ただ恥ずかしく申し訳なく思っています。
えっちゃんは自営業の傍ら、お庭作りとブログをなさっていらっしゃるとか、実は私もそうなのです。その上、ブログも初めて、植物学も学んだことなく、記事を書く度にあわててにわか勉強というわけです(笑)。いつも間違いはなかったかしらと心配してます。
シラー・カンパニュラータについては英国ではスパニッシュ・ブルーベルとイングリッシュ・ブルーベルとの自然交雑が起こり、遺伝子汚染が問題になっているそうです。
うちの庭でももうそれがおきているかもしれません。ですからきっかり2種に分けることは慎みました。
先輩様、どうぞこれからもいろいろ教えて下さいね。
by yuusuge (2010-05-10 15:59)
とても魅力的な記事でした。
また遊びに来ます!!
by 伝わる履歴書 (2014-01-04 11:43)