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篠原猛史さんのプロペラ 1 [庭のプロペラ]

 今冬3度目の雪の庭です。 2010. 1.13.
庭の中央に高くそびえるプロペラが雪にも負けずゆっくり回っています。
風力発電?
いえいえ、これは篠原猛史さんの作品なのです。
     タイトル 「circulation」  
         (写真は画面をクリックすると拡大します。以下も同じ。)
雪100113-4wb.jpg

 2003年7月6日、偶々、訪れたギャラリーなうふさんで初めて篠原猛史さんにお会いしました。こじんまりした会場には感性豊かな小品が展示されていました。
 うちの庭にもこういうものが1つあるといいなとふと思いましたが、それらは木や紙で作られ、屋外には設置できない作品でした。
 
 翌日、また半ば偶然の出会いがありました。 
 庭に案内しつつ、「何かひらめかれましたら作品をひとつ」と軽い言葉が出てしまいました。庭を一回りした後、篠原さんは「ひらめきました。ひらめきました。」と。
 数日後、5枚の下絵が届きました。早い展開に驚きながらも私はその中から一番大きいプロペラを選択してしまいました。
ただし、条件付きでした。
 庭に来る小鳥を驚かせぬよう音がしないこと。
 周りの植物たちのためにコンクリートを用いないよう。
 支柱部分にはつる性の植物を絡ませたい。
彼はそれらを快く受け入れて設計開始。

 やはりプロペラだったら、風が当たりやすくて生垣の外からも見えるよう、高さは3メートルにしました。

 年が明けて2004年2月19日、プロペラ・アートははるばる京都から制作者お二人によって大切に運ばれて来ました。

 その1か月後、まわりに花が咲くようになったときの写真です。
プロペラが朝日に輝いています。赤い電車は名鉄。

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 製作中、篠原さんはAKI鉄工所さんと二人で京都郊外の山にこもって硬い金属を叩いて叩いてまた叩くの毎日、手にはしっかりタコができていました。
 無事搬入、本当にコンクリートは用いず、特製の固定具で庭の真ん中にがっちり設置され、プロペラがゆっくり回り始めました。みんな嬉しくて、シャンパンで乾杯!

 設置3日目の夜、春一番といわれる強い風が吹きました。私も心配で庭の灯をつけて窓から見守りましたが、強風下の風速計のようにはならず、余裕を残して音もなく旋回し続けていて安堵しました。

 あとからいただいた篠原さんのメールによれば、設置された日はプロペラ完成の感激で一睡も出来なかったそうです。
 また3日目は京都も風が強く、プロペラさんはどうしているかと落ち着かず、この近くを通るというお友達に見に来ていただかれたとのこと、その思い入れの深さにうたれました。

 翌年4月の庭。赤いモミジの葉が広がり、菜の花・ルッコラ・ユキヤナギなど満開です。左側に植えたスイカズラ(蔓性)の葉も繁ってきました。

P0504scanwb.jpg

 酔芙蓉咲く頃。周りに秋明菊が咲き乱れています。2005.10.15.
力強い夏の花やスイカズラがうっそうと茂ってしまいました。

p071014酔芙蓉wb.jpg

 冬の庭。遠くに白い伊吹山がきれいに見えた日。 2010. 2.18.
冬は花も少なくなり寂しいのですが、常緑のスイカズラはいつも元気です。
その前にあるクリスマスローズは早春の花、もう蕾がふくらんでいます。

伊吹山100218-3wb.jpg

 プロペラ部分の拡大像。一瞬一瞬、表情が変化します。

P071030wb.jpg

桜・ルッコラPwb.jpg

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雪の帽子。
P雪01ー1wb.jpg

 下のプレートも作品の一部です。
いぶした厚い金属板をたわめて制作者のお名前(篠原猛史・AKI鉄工所)が彫り貫いてあります。
支柱も上はそのままの銀色、次第に土の色になるグラデーションです。

P.プレート2wbpg.jpg

 プロペラはすでに6年、風を受けると静かに回っています。
何一つ故障なく、油を注したことすらありません。
 強い風が吹いても一定以上は速く回らないよう制御されていますから、台風のときも大丈夫でした。

 篠原さんのアートについてはむつかしい解説がたくさんあります。
それらはちょっと苦手ですが、常に大地や自然を意識し、それを表現できる感性の豊かさと柔らかさに感じ入ります。

 次回は「プロペラの光と影」です。


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コメント 2

わんちゃん

夕菅 さんのblogにおじゃまして一番最初にプロペラ
このプロペラが????でした。

ここでそのプロペラの誕生秘話を知って
感動です。
by わんちゃん (2010-06-23 22:04) 

yuusuge

わんちゃん ようこそ!
ブログを始める時、タイトルに「プロペラのある庭」も考えたのですが、ブログが続けられるかどうか自信なく、プロペラ生みの親さんに申し出る勇気もなく、「夕菅の庭」になりました。

今春何とか1年続いたのでお許しを得て公開させていただきました。
風を受け流しつつ静かに廻るプロペラ、文字通りこの庭の中心です。


by yuusuge (2010-06-24 00:13) 

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