ルリタテハ [昆虫]
ルリタテハ
瑠璃立羽、学名 Kaniska canace
チョウ目・タテハチョウ科
2009年4月8日
踏み石に一瞬ルリ色の輝きを見た。
えっ? もしや? あのルリタテハの色?
そう、たしかに、確かにあのルリタテハ!
お願い、じっとしてて。………カメラ、カメラ!
あー、まだいた。となりの赤いクリスマスローズに止まった。
夢中でシャッターを押す。
ヒラヒラ、ヒラヒラ。ルリタテハはたちまち生け垣の外へ。
あーもう行ってしまった。
と思いきや、また舞い戻ってきて近くのホトトギスの若葉の上を飛び交う。
シャッターを押す間がない。そしてまた生け垣の向こうへ行ってしまった。
ルリタテハにはじめてであったのは昨年9月4日でした。
庭木にイラガの幼虫が発生したので、その枝や葉っぱを切っていた時です。
ホトトギスの葉に奇怪な幼虫を発見。イラガの親分みたい。
無農薬を心がけて30余年、虫には慣れてきたものの、さすがにこれにはギョッと
しました。辛うじて写真だけは撮って葉っぱ諸共、イラガと一緒に焼却炉へ。
それでも気になってネット検索したら、これがルリタテハという優雅な蝶の
幼虫! もうすぐ蝶になるところだったのに!………………
もしもまた見つけたら今度は飼ってみよう。
その後ホトトギスを時々おそるおそるのぞいていたら その12日後、なんと
2匹目を発見。
ありあわせで住まいを作り、幼虫のいるホトトギスの茎を根元から切って水
の入ったカップに挿す。
幼虫はトゲを振りかざすことも無く、逃げる気配もなくただもくもくと葉を
食べ続ける。
8日後、箱の中の葉をほとんど食べ尽くした頃、さなぎになった。
9月29日、羽化直前の蛹。黒く輝いているよう。(2012.1.15.画像追加。)
そして9月30日、ついに羽化。でも箱の隅で動かないので写真も撮れない。
居間で箱を開く。
突如、蝶は一気に南のガラス戸へ飛び、ぱたぱたとはねを開閉する。
羽を開くとこの輝くルリ色。
羽を閉じれば、裏側はなんと枯れ葉のよう。
記念撮影を終えたらもうお別れ、部屋のガラス戸を開ける。
勢いよく羽ばたいて庭に飛び、生垣を越えてたちまち見えなくなってしま
った。
そして今日、忘れもしないあのルリタテハがここに姿を現したのです。
感無量!……….でも、たった数分のできごとでした。
あとで思えば、この蝶は私に挨拶にきたわけではなくて、帰巣本能とかで好物の
ホトトギスに産卵するために来たのでしょう。
とするとこれからホトトギスの葉は、数多のあの幼虫に食べ尽くされる?
タイワンホトトギスは殖え過ぎだからいいとしても、希少種のシロホトトギスを
餌にされるのは困ります。
うーん、とても複雑な思いです。
最後にタイワンホトトギスとシロホトトギスの花と葉を並べてみます。
追記
このルリタテハはいったいどこから来たのでしょう。
もしや、去年の蝶?
ホトトギスは冬の間は葉が枯れますから食草にはなりません。
春になると新芽が出て、今、つやつやとした若葉が育ちつつあります。
気になってまたネット検索してみました。
その結果、原色日本蝶類生態図鑑にはルリタテハは中部地方の低地では10月末
ごろから3月まで越冬すると書かれているという記載が見つかりました。
越冬場所は崖のふち、土手の隙間・岩石の陰・倒木の下・浅い土中・樹のうろ
などと。
実は昨秋さらにつづいて2匹の幼虫を飼育することになりました。
2匹目は10月24日羽化、3匹目は不幸にもコマユバチに寄生されて羽化できま
せんでした。
庭の隅ではもっと多くのルリタテハがひっそり育っていたかもしれません。
わが家の周りは田畑が残り、長い生垣、伐採した古木などあり越冬条件は良好
です。
そうとしたら、昨秋ここで生まれたルリタテハが近くで成虫のまま越冬し、今
春また現れたと考えてもいいようです。
ルリタテハの外側の羽が、まるで枯葉か樹皮のようにみえるのは、この越冬の間
身を守るためとも思われます。今春見たルリタテハの羽が、傷もなく美しいまま
だったのもうなずけます。
瑠璃立羽、学名 Kaniska canace
チョウ目・タテハチョウ科
2009年4月8日
踏み石に一瞬ルリ色の輝きを見た。
えっ? もしや? あのルリタテハの色?
そう、たしかに、確かにあのルリタテハ!
お願い、じっとしてて。………カメラ、カメラ!
あー、まだいた。となりの赤いクリスマスローズに止まった。
夢中でシャッターを押す。
ヒラヒラ、ヒラヒラ。ルリタテハはたちまち生け垣の外へ。
あーもう行ってしまった。
と思いきや、また舞い戻ってきて近くのホトトギスの若葉の上を飛び交う。
シャッターを押す間がない。そしてまた生け垣の向こうへ行ってしまった。
ルリタテハにはじめてであったのは昨年9月4日でした。
庭木にイラガの幼虫が発生したので、その枝や葉っぱを切っていた時です。
ホトトギスの葉に奇怪な幼虫を発見。イラガの親分みたい。
無農薬を心がけて30余年、虫には慣れてきたものの、さすがにこれにはギョッと
しました。辛うじて写真だけは撮って葉っぱ諸共、イラガと一緒に焼却炉へ。
それでも気になってネット検索したら、これがルリタテハという優雅な蝶の
幼虫! もうすぐ蝶になるところだったのに!………………
もしもまた見つけたら今度は飼ってみよう。
その後ホトトギスを時々おそるおそるのぞいていたら その12日後、なんと
2匹目を発見。
ありあわせで住まいを作り、幼虫のいるホトトギスの茎を根元から切って水
の入ったカップに挿す。
幼虫はトゲを振りかざすことも無く、逃げる気配もなくただもくもくと葉を
食べ続ける。
8日後、箱の中の葉をほとんど食べ尽くした頃、さなぎになった。
9月29日、羽化直前の蛹。黒く輝いているよう。(2012.1.15.画像追加。)
そして9月30日、ついに羽化。でも箱の隅で動かないので写真も撮れない。
居間で箱を開く。
突如、蝶は一気に南のガラス戸へ飛び、ぱたぱたとはねを開閉する。
羽を開くとこの輝くルリ色。
羽を閉じれば、裏側はなんと枯れ葉のよう。
記念撮影を終えたらもうお別れ、部屋のガラス戸を開ける。
勢いよく羽ばたいて庭に飛び、生垣を越えてたちまち見えなくなってしま
った。
そして今日、忘れもしないあのルリタテハがここに姿を現したのです。
感無量!……….でも、たった数分のできごとでした。
あとで思えば、この蝶は私に挨拶にきたわけではなくて、帰巣本能とかで好物の
ホトトギスに産卵するために来たのでしょう。
とするとこれからホトトギスの葉は、数多のあの幼虫に食べ尽くされる?
タイワンホトトギスは殖え過ぎだからいいとしても、希少種のシロホトトギスを
餌にされるのは困ります。
うーん、とても複雑な思いです。
最後にタイワンホトトギスとシロホトトギスの花と葉を並べてみます。
追記
このルリタテハはいったいどこから来たのでしょう。
もしや、去年の蝶?
ホトトギスは冬の間は葉が枯れますから食草にはなりません。
春になると新芽が出て、今、つやつやとした若葉が育ちつつあります。
気になってまたネット検索してみました。
その結果、原色日本蝶類生態図鑑にはルリタテハは中部地方の低地では10月末
ごろから3月まで越冬すると書かれているという記載が見つかりました。
越冬場所は崖のふち、土手の隙間・岩石の陰・倒木の下・浅い土中・樹のうろ
などと。
実は昨秋さらにつづいて2匹の幼虫を飼育することになりました。
2匹目は10月24日羽化、3匹目は不幸にもコマユバチに寄生されて羽化できま
せんでした。
庭の隅ではもっと多くのルリタテハがひっそり育っていたかもしれません。
わが家の周りは田畑が残り、長い生垣、伐採した古木などあり越冬条件は良好
です。
そうとしたら、昨秋ここで生まれたルリタテハが近くで成虫のまま越冬し、今
春また現れたと考えてもいいようです。
ルリタテハの外側の羽が、まるで枯葉か樹皮のようにみえるのは、この越冬の間
身を守るためとも思われます。今春見たルリタテハの羽が、傷もなく美しいまま
だったのもうなずけます。
2009-04-13 16:01
コメント(5)
トラックバック(0)
”ルリ”って響きがいいですねぇ
容易にその色が想像できます
キレイですね、たたんだ時の工夫された色合い、流石です。
庭の小さな山椒の葉っぱに青虫を見つけて以来
虫かごで飼うケセがついてしまって・・・
今、散歩道のクララにいっぱい幼虫がついてて、お持ち帰りと、なりました
ところで、夕菅さんのお庭のお花たち、季節ごとに次々と登場
素敵なお庭ですね。
by わんちゃん (2010-08-04 16:02)
わんちゃん
ルリタテハも見ていただいてありがとうございました。
くらくらするほど苦いというクララについたのは、ひょっとしてルリ
はルリでもオオルリシジミでしょうか。
とは申しましても、こんな専門的なこと私に分かるはずはなく、ちゃっかりそよかぜさんのブログをカンニングしてきたところでーす。
植物の種類は殖えましたが、この暑さ、枯れてしまうものもあってはらはらします。
by 夕菅 (2010-08-04 23:39)
はじめまして。
蝶の幼虫の画像を調べていて、偶然こちらにたどり着きました。
いきなり不躾で申し訳ありませんが、夕菅さんは虫に詳しそうですので質問させていただけないでしょうか?
実は先日、蝶か何かの幼虫らしきものを撮影したのですが、これが成虫すると何になるのか知りたいと思いまして。
こちらの記事に写真があります。
http://yap.blog.so-net.ne.jp/2012-10-14
自分のブログへの誘導みたいになって大変申しわけありませんが、ご存知でしたら教えていただければ幸いです。
いろいろ検索して調べてはいるのですが、なかなか正解が見つかりません...
by YAP (2012-10-15 18:26)
YAP さん お訪ねいただきありがとうございました。
ただ、私は全くの素人でご期待には添えませんでした。
拝見しました幼虫、まだ私は見たことがありません。
ルリタテハの幼虫は下のサイトを開いた途端に偶然、出てきました。
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/youtyuu/
今、この幼虫図鑑の幼虫の検索欄の「縮小画像で検索」から「黒・茶色・灰色など濃色」「棘がある」とかを見てみましたが、ぴったりしたものに巡り合えません。
それにあまりたくさん幼虫を見てもう飽和状態!
このサイトには「不明幼虫の問い合わせのための画像掲示板」もあります。
また私は「むし探検広場」にお尋ねしたこともあります。
http://insects.exblog.jp/
各々の投稿マナーをご確認の上、お尋ねいただくのも一方かと思います。
その場合は画像はこれら大小の中間くらいが判り易いでしょう。
このような返信しか出来ず申し訳ありません。
by 夕菅 (2012-10-15 21:49)
夕菅さん、ご丁寧なご回答をありがとうございます。
こういう便利なサイトがあるのですね。
ぜひとも質問してみようと思います。
ありがとうございました。
by YAP (2012-10-16 07:56)